
軍事侵攻の状況を放映しているメディアは多いのですが、その原因については、十分な説明がされていませんので、正しく原因を理解できている方は少ないのではないでしょうか。


ロシアのウクライナ侵攻は周辺国と領土問題(尖閣諸島/竹島)を抱えている日本にとっても他人事ではありません。
なぜなら、ウクライナはロシアから侵略を受けているのにも関わらず、NATOは物資を送るのみで静観しているからです。
世界の平和と均衡を保つために設立されたNATOが動かないということは、中国・北朝鮮からの脅威に晒されている我々日本も、侵略を受けた時に守ってもらえるとは限らないということです。
そう考えると恐ろしいですよね。

ぜひ最後まで読んでくださいね。
著者紹介
ロシアとウクライナの関係性
二カ国のルーツ
ロシアとウクライナは隣国ということもあり、幾度となく衝突を繰り返してきました。
ロシア人もウクライナ人も同じ東スラブ民族であり、10世紀に今のウクライナの首都キエフにできた大国である「キエフ公国」が源流です。
言語や文化のルーツも近い両国ですが、なぜ衝突が絶えなかったのでしょうか。
それはプーチン大統領が2021年夏に発表した「ロシア人とウクライナ人の歴史的な一体性について」と題する論文を読み解くことで明らかになります。
この論文の中でプーチン氏はロシアとウクライナの関係性について、「我々は一体の民族である」と強調しています。
つまり、1991年のソ連崩壊後に独立したウクライナを独立国として認めておらず、ロシアの勢力圏とみなしているということです。


琉球王国
琉球王国とは1429~1879年の450年間、琉球諸島を中心に存在した独立国です。
薩摩藩に侵略され、その後は日本の保護国となり、1879年の琉球処分により沖縄県となりました。


2014年3月クリミア併合
クリミアはかつてロシア連邦から有効の証として、ウクライナに譲渡された領土でしたが、2014年に内地のロシア兵に制服され、独立→併合要望→ロシアとの条約締結という形でロシアが実効支配する領土となりました。

衝突と和睦を繰り返してきたロシアとウクライナでしたが、クリミア併合を機にウクライナ国民の反ロシア感情が高まり、以降、親欧米政権が続いています。
各国はロシアに対しする制裁措置として、ロシア要人の資産凍結、渡航制限、防衛関連品の輸出禁止、金融規制を実施し、エネルギー関連の制裁として北極海などでの石油開発に利用する物品や技術の輸出を禁じました。
2021年3月~ウクライナ危機・侵攻
クリミア併合を機に反ロシア・親欧米派が拡大したことにより、大統領に当選した※ウォロディミル・ゼレンスキー氏はNATO(北大西洋条約機構)への加盟を公約に掲げ、推進していました。
ウォロディミル・ゼレンスキー氏
Held talks with 🇵🇱 President @AndrzejDuda and 🇧🇬 Prime Minister @KirilPetkov. Informed on the course of 🇺🇦’s defense, the crimes of the Russian aggressor. We appreciate the assistance provided and the support of 🇪🇺 for 🇺🇦’s integration.
— Володимир Зеленський (@ZelenskyyUa) March 13, 2022
ウォロディミル・ゼレンスキー
元俳優・コメディアンから大統領に上り詰めた異例の経歴を持つ政治家です。
彼が俳優としてウクライナの大統領を演じた「国民の僕(しもべ)」が国内で大ヒットし、国民の間では作中で描かれた主人公をゼレンスキーと重ね合わせ、現実の大統領選挙への出馬を期待する動きが起きました。
その勢いのままゼレンスキー氏は大統領に当選し、ドラマが現実になったという日本では考えられない経歴となっています。
ただ、彼の外交力やカリスマ性は非常に高く、SNSを利用して、様々な国からの支援や義勇兵を集めており、国内での支持率は80%を超えています。
ウクライナのNATO加盟に対する威嚇として、プーチン大統領はロシアとウクライナの国境沿いに10万もの兵を配備し、両国は一触即発の状態を維持していました。
その後、アメリカ・NATOが軍隊派遣をしない声明を出したことをきっかけに、プーチン大統領は2022年2月24日にウクライナ侵攻を断行しました。

なぜロシアはウクライナに侵攻したのか
プーチン氏はウクライナ侵攻の理由を自身の声明でこう述べています。
ウクライナ国内で虐殺されているロシア人を守り、ウクライナの非軍事化・非ナチス化を実現するためである。
もちろん上記のような事実はウクライナ国内で確認されていませんので、完全にでっちあげであることが分かっています。
プーチン氏の真の目的は「ウクライナをNATOとの緩衝地帯として維持し、NATOの東邦拡大を阻止すること」です。

NATOとは

ヨーロッパ及び北米の30カ国で構成させれている軍事同盟であり、1949年4月の調印から現在に至るまで、加盟国を増やし拡大し続けています。
NATO加盟国が他国から攻撃を受けた場合、集団的自衛権を行使して、共同で対処することができます。


なので、NATOに加盟しているだけで、加盟国・非加盟国に対する戦争の抑止力になるということです。
こうした側面から、ウクライナのように核を持たない国が自国を守る砦として、NATOへの加盟申請をしている状況が続いています。
日本もNATO加盟国にはなっていませんが、NATOのグローバル・パートナー国として集団的自衛権の恩恵を受けられる立ち位置にいます。
NATO設立の経緯
第二次世界大戦後の西欧諸国(アメリカ、イギリス、フランスなど)は東欧諸国(ソ連)との核開発競争による戦争の危機を回避するためにNATOを設立しました。
後にソ連もこれに対抗してワルシャワ条約機構を設立しています。
核を持たない国にとってソ連は脅威でした。

核開発競争による冷戦はNATO陣営の勝利となり、統率力を失ったソ連は崩壊しましたが、その後もNATOは勢力を拡大し続け、東欧諸国もその傘下に取り込んでいます。
旧ソ連の中核であったロシアからすると、かつての同盟国が次々と敵国陣営のNATOに取り込まれていくのは、脅威だったでしょうね。
青:NATO陣営
薄青:冷戦終結後にNATOに加盟した国家
赤:ワルシャワ条約機構(ソ連陣営)
そして、自国と同じルーツを持つ、ウクライナすらもロシアから離脱し、NATOに加盟をしようとしているのです。
仮にウクライナがNATOに加盟してしまうと、ロシアとNATO陣営の国家を隔てる緩衝地帯がなくなります。

資本主義と社会主義(共産主義)の対立
アメリカを始めとする西欧諸国のNATO加盟国は資本主義を採用しています。
資本主義とは個人が資産を持つ事ができて、個人の頑張りがお金として還元される仕組みです。

一方でロシアや中国を始めとする、東欧諸国のNATO非加盟国は社会主義を採用しています。
社会主義とは個人の資産を国が管理し、個人の頑張りではなく、社会的な平等を重視する仕組みです。


資本主義と社会主義はどちらが正しいというものではなく、その国の文化や風土によって決まるものです。
ただ、両者の考えは古くから対立しており、今現在も戦争の引き金になっているほど根が深い問題であると言えるでしょう。
なぜプーチン大統領はウクライナに拘るのか
プーチンは声明で1989年のドイツのベルリンの壁崩壊が自身の価値観に大きな影響を与えたことを公言しています。
ベルリンの壁崩壊によって、それまで東西ドイツを分断していた共産主義政府が打倒され、ドイツは資本主義国家に生まれ変わりました。
この事件を目の当たりにしたプーチン大統領はNATOの資本主義的思想がロシアに流れ込み、国家の転覆が起こることを危惧しているのです。


そのためプーチン大統領はウクライナのNATO非加盟を要求すると共に、NATOにこれ以上加盟国を増やさないことを要求してきましたが、NATOはそれに応じることはなく拡大を続けています。
以上が今回のウクライナ侵攻の全貌です。
いかなる理由があれど、戦争は悪であり、プーチン氏は罪のないウクライナ民間人の命を奪った犯罪者です。

しかし、一方でNATOが加盟国を増やしていく過程でロシアにプレッシャーを与え続けたことを真摯に反省するべきであることも事実です。

今回のウクライナ侵攻でプーチン氏を支持しているロシア人はロシアの※プロパガンダに操られている国民が多いと聞きます。
※プロパガンダ=テレビ・インターネットのようなメディアを利用した政治的洗脳


正しい情報を得ているロシア人はウクライナ侵攻に支持などしていません。
なので、ロシア人=悪という印象を持たないでください。
プーチン氏が判断を間違えただけで、ロシア人には責められるような非はないのですから。
ウクライナ侵攻で露呈した日本の危機について
今回ロシアがウクライナ侵攻を断行した経緯として、NATOのアフガニスタン撤退が大きく影響しているでしょう。
アフガニスタンはNATOに加盟はしておりませんが、日本と同じパートナー国という位置付けになっています。
NATOはアメリカの同時多発テロに対する集団防衛の初めての適用として、10万人を超える軍隊をアフガニスタンへ派遣していましたが、アメリカの軍事費の負担が非常に重く、2021年8月完全撤退を余儀なくされました。
この流れはトランプ政権下で起こった「アメリカファースト」の流れを汲んでいます。
世界各国の紛争を解決するために、他国の紛争に介入してきたアメリカですが、既に世界のリーダーたる国力は残っておらず、他国の紛争に介入する余力はないのだから、自国の防衛・経済発展に注力するべきであるという考えです。


プーチン氏は上記の経緯からウクライナ侵攻を断行したのでしょう。
我々日本国民がこの事態から注視するべきなのは、日本が実効支配している沖縄県の尖閣諸島に対して、中国が領有権を主張している尖閣諸島問題です。
日本もウクライナと同じようにNATOの庇護を受ける事ができる立場ですが、NATOはウクライナに対して物資の補強をし、ロシアに対して経済制裁を行っているものの、直接的な武力介入は一切行っていません。
つまり日本も中国に尖閣諸島を侵攻されたとしても、おそらくアメリカもNATOも守ってはくれないということです。
もっというと、ロシアよりも中国の方が遥かに世界経済に大きな影響を与えているので、中国に対する各国の経済制裁も滞るかもしれません。

今日本国民がするべきこと

募金をしたり、ボランティアで現地の赴くのも止めはしませんが、今の状況でウクライナ側に加担するのは、ロシア人を殺すための協力をしているようなものだと私は思います。
なので、ウクライナを助けたいと思うなら、全てが終結した後にウクライナの復興費用として、募金やボランティアで救いの手を差し伸べるのが良いのではないでしょうか。

しかし、ウクライナには各国からの支援が届き続けるので持久戦になれば国家として陥落することはありません。
一方でロシアは経済制裁でダメージを受け続けながら戦争を継続することになるので、核兵器を使用しない限り、プーチン氏の思惑が叶うことはないでしょう。
「いくらプーチンでも核は使わないだろう…」とは言い切れないのが、彼の恐ろしい所ですよね。
現状ロシアは銀行間の国際決済システムであるSWIFTから締め出しを食らっていますし、要人のVISA/マスターカードの差し止めをされているので、かなり厳しい状態です。
元々、ロシアのGDPも日本の1/3程度であり、戦争を継続するような国力は残っていないはずです。
だからこそ、プーチン氏が最後の手段で核兵器を使用しないように、経済制裁の段階を各国が慎重に協議して対応をしていく必要があるでしょう。
また、日本への影響としては、ロシアへの経済制裁による、電気代、原油、輸入品の高騰が予測されています。

今回の戦争を機に、しっかりと日本の未来を考えて行動できる人が増えることを祈ります。
ここまで記事を読んで頂きありがとうございました。
今回は小学生でも理解できるようにロシア・ウクライナ問題を解説してみました。
少しでも皆さんのお役に立てば幸いです。
今後も皆様に有益な情報発信していきます!
Mitsu